2016年12月29日木曜日

スウェーデンの老人ホームで働くということ/その2

こんにちは、mayukoです。

去年『スウェーデンの老人ホームで働くということ』という記事を書いて早一年。わたしは相変わらず同じ老人ホームで働いています。

わたしの職場は10名定員のユニットが6つある私立の老人ホーム。わたしはそこの認知症ユニットで働いています。

この一年、施設で亡くなった方もいました。予期せず亡くなる方も、看取りケアの末亡くなる方もいます。『スウェーデンには寝たきり老人がいない』なんていう日本のメディアに書かれた記事も見かけますが、現場の感覚としてはなんか違うなぁ…と。
まず、死生観についての感覚が日本と違う。看取り(スウェーデンではPalliativ vård、緩和ケアと呼ばれます)に移行するまでの判断が早い。看取りケアに入ると食事も勧めはしますが無理には食べさせず、痛みを取り除くため以外の薬も外されます。その結果1〜2週間ほどで自然に亡くなるのです。日本との違いはやはり家族の決断かと思います。日本はいくら高齢でもやはり医療的ケアを尽くし、これ以上何もすることがない、といった時に看取りケアへの移行を受け入れる家族が多いのではないでしょうか。その結果としていわゆる「寝たきり」と呼ばれる期間が長くなるような気がします。
スウェーデンの家族はその点「苦しい期間を長引かせたくない」とわたしから見るとあっさりしていると思えるほど看取りケアへの移行を受け入れます。もちろん、すべての家族がそうではなく、親になるべく長生きして欲しい、と看取りケアへ移行しても高カロリー栄養ドリンクを毎日きちんと飲ませて欲しいとの希望があり半年以上看取りケアが続いたこともあります。
この対応について利用者が無理矢理長生きさせられてかわいそう、という意見もありましたが、わたしには親の死を受け入れられないという気持ちもわかるためこれが悪かったとは一概には言えないと思いました。そして自分たちの価値観だけで決めつけてはいけないと改めて感じさせられました。

第二に医療ケアの不足。スウェーデンの医療ケアのひどさは日本のメディアでどこまで紹介されているかはわかりませんが…。理由の一つは病院の人手不足、キャパ不足。ストックホルムでは救急外来に行って5時間待ち、8時間待ちなんてこともよく聞きます。わたしも一度夜勤をしていて、17時頃に転倒して救急車で近くの病院に運ばれた利用者がその日の夜中の2時くらいに戻ってきたことがあります。病院でやったことはレントゲンを撮って骨折してないとわかっただけ。それだけで9時間です。そして2時に送り返すくらいなら朝までそっちで寝かせてあげてよ!と思うところですが、その場所も人手もないようなのです。そして特に認知症がある高齢者は手がかかるためか必要な治療もされずにすぐに送り返されることも。正直、口は悪いですが「そりゃ寝たきりにもならずにコロッと亡くなるよなー。」と思ってしまいます。以前テレビで看護師の労働環境、労働条件の改善を求めてのデモを見ましたが病院勤務の看護師の仕事もかなりタフなようです。

労働環境、労働条件の悪さで言えば介護に携わるアンダーナース(Undersköterska)も負けていません。
わたしの職場では日勤と夜勤があり日勤は基本的に7時〜15時/8時〜16時(休憩30分)、15時〜20時/16時〜21時(休憩なし)、それに7時〜20時/8時〜21時という鬼のようなシフトもあります。しかも13時間のうち休憩時間はたったの1時間。スウェーデンの職場ではランチ休憩以外に午前と午後にフィーカタイムがあるなんて介護の世界では都市伝説です。同僚の以前の職場や実習先の施設でもこのような長時間勤務があるので、これはわたしの職場だけということでもないようです。それにしても12時間も働いて体力的にも精神的にも疲れ果てて良い介護ができると思っているのでしょうか?これだけ多くの施設がこの長時間勤務を実施しているということは合法なのでしょうが、国がこれを良しとしていることに腹が立ちます。

施設ではイースター、夏至祭、クリスマスなどのお祝いもします。ただでさえわたしを含め移民のスタッフが多い中スウェーデン人スタッフはやはり家族でお祝いするため休みをとる人も。ということで利用者の行事当日のお祝いはほぼ移民スタッフが担当することに。
夏至祭

もちろん事前にメニューなどは決めているのですが、それでもスウェーデンの行事食について詳しくないスタッフも多いです。それは普段の食事でもそう。移民はその国の人同士で結婚することも多くスウェーデンの食事、行事に詳しくない人もいます。詳しくないだけならまだしもそこを学ぼうとしない人にはイラッとさせられます。

例えば、スウェーデンではミートボールをはじめとする肉料理にリンゴンベリージャムを添えることがあるのですが、以前あるスタッフが食事介助の際、ジャムをつけずに食べさせていたため「このジャムはお肉につけて食べるんだよ」と教えると「Neeej!(Nooo!)」と言われ、思わず「Nejってなんだよ!?スウェーデンではそうするの!」と強めに答えてしまったことも(このスタッフに関しては他にも色々と目に余る言動があったため)。他にもミートボールの時にリンゴンベリージャムがなく、それをイチゴジャムで代用しようとしたスタッフも。ジャムだったらなんでもいいわけではありません。醤油がないから似たような色のソースで刺身を食べるくらい合わない気がします。
わたしが食べる事が好きだからなのか、スウェーデンの食文化を知ろうとしない、尊重しないスタッフにはがっかりします。そういう人は他のスウェーデン文化についても尊重しません。スウェーデン人、特に高齢者を相手にする時にはスウェーデンの文化、歴史などについても知る必要があると思うのです。
日本でも移民による介護が進むかもしれませんが、自分や家族が年をとって介護サービスを受けるようになった時、ありえない組み合わせの食事を出されたり、日本人がおいしいと思うのではなく、外国人スタッフがおいしいと思うようなスパイスたっぷりの味付けをされた食事が出たりしたらどう感じるでしょうか?
食事に関してはスウェーデン人も若いスタッフなどは適当だったりして、わたしは意地悪な姑並みにうるさい存在だと思います。でも食事はおろそかにしたくないのです。
ザリガニパーティー

去年に引き続き愚痴っぽい内容になりましたが、やはりこれが現実なのです。
最近、感じるスウェーデンの介護(に限らずですが)の良いところは、とにかく褒める!
利用者が素敵な服を着てたら褒める、普通の服でも褒める、髪を切ったら褒める、歌ったら褒める、歩いたら褒める、部屋を褒める、家族を褒める、とにかく褒める、スタッフ同士も褒め合う!
褒めるための言葉もたくさんあるように感じます、fin(fine、nice、good)、bra(good、fine)、härlig(great、lovely、delightful)、fantastisk(fantastic)、underbar(wonderful)、snygg(handsame)、vacker(beautiful)、snäll(kind)....誰でも褒められれば嬉しいし、周りの雰囲気も良くなります。最初はちょっと大げさすぎるくらい褒めるのに照れがありましたが、今ではもう褒めまくります。

ホームの庭になるラズベリー

去年の抱負「目指せお局!」は激しいスタッフの入れ替わりにより在籍期間の長さでは立派にお局の域に達したのにいまいちというか全く恐れられていないのが残念なところです。来年も真のお局様を目指し精進します。


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