2013年11月20日水曜日

第24回ストックホルム国際映画祭

こんにちは、mayukoです。
今年で24回目を迎えるストックホルム国際映画祭(Stockholm International Film Festival)が11月6日〜17日の期間で開催されました。
この映画祭の歴史や賞などについては去年の映画祭に関する記事に書いてあるのでそちらをご覧ください。(KOKEMOMO Topics 第23回ストックホルム国際映画祭

栄光のブロンズホース(7.3kg!)/photo: Stockholm Filmfestival

まずは今年の主な受賞結果

最優秀作品賞(Best Film)
『The Selfish Giant』/Clio Barnard監督

特別作品賞(Special Mention)
『12 Years A Slave』/Steve McQueen監督

最優秀初作品賞(Best First Film)
『Fruitvale Station』/ Ryan Coogler監督

特別初作品賞(Special Mention)
『The Reunion』/Anna Odell監督

最優秀脚本賞(Best Script)
Alexandros Avranas & Kostas Peroulis/『Miss Violence』

最優秀女優賞(Best Actress)
Jasmine Trinca/『miele』

最優秀男優賞(Best Actor)
George Mackay/『For those In Peril』

ストックホルム・ライフタイム・アチーヴメント・アワード(Stockhlm Lifetime Achievement Award)
Claire Denis

ストックホルム・ヴィジョナリー・アワード(Stockholm Visionary Award)
Peter Greenaway

今年のコンペティション部門最優秀作品はイギリス映画の『The Selfish Giant』。オスカー・ワイルドの『わがままな大男』と同じタイトルのこの映画は学校にうんざりしたイギリス、ブラッドフォードに住む2人の少年の話。こういうイギリスのちょっと荒んだ工業地帯の雰囲気とか好きなので見たかったけど、見逃してしまいました。
The Selfish Giant/photo: Stockholm Filmfestival

今年観た映画は4本。

アメリカ映画の『The Lifeguard』。NYで仕事や彼氏と色々あって地元に戻った29歳の女性の話で、いわゆる『崖っぷち』の女性を描いた『ブリジット・ジョーンズの日記』的な映画かと思ったら、地元に帰ってプールの監視員の仕事をして、何故だか16歳の少年と…!そんな、29歳女性と16歳の男の子なんて犯罪です…。

もうひとつアメリカ映画の『Bluebird』。寒くて暗い感じの映画で、なんで登場人物みんんながこんなに暗いんだ!?って思うくらいに、悲観的な雰囲気の映画でした。

一番観たかったと言ってもいいのが、アゴタ・クリストフの『悪童日記』を映画化した『Le Grand Cahier』。高校生の時に友だちに本を借りて読んで感銘を受けたのに、内容はすっかり忘れていました。こんなにも内容を忘れていたなんて…。でも、本のちょっと不思議な雰囲気も再現されていて、とても良かったです。もう一度原作を読みたくなりました。
Le Grand Cahier/photo:Stockholm Filmfestival

今回観た、唯一のスウェーデン映画は『Ömheten(英題Tenderness)』。北極圏の街キルナ(Kiruna)に住む少年少女を描いた映画です。キルナと言えば中学校で習った『キルナ鉄山』。この鉱山による町の収入は大きいのですが、鉱山を長年にわたり掘り続けたために地盤沈下、陥没の恐れがあるために現在では街ごと引っ越しが計画、実行されています。そんな街で自分のやりたいことを見つけて努力する少女、高校で上手くやっていけず鉱山で実習生として働く少年などが描かれています。
Ömheten/photo:Stockholm Filmfestival

この日の上映では、この映画祭の目玉でもあるFace2Faceが行なわれました。このFace2Faceでは監督、演出家、俳優などが上映後に登場し、その作品にまつわる話しをし、観客からの質問に答えたりします。この日は『Ömheten』の監督であり、脚本も手がけたSofia Norlinが登場。彼女の話しによるとこの映画のもうひとつの主人公とも言えるのがキルナの街。鉱山と言う工業地帯とスウェーデン北部ならではの美しい自然が同時に存在し、街の引っ越しという未来に向けての希望や夢を登場人物の少年少女に重ね合せたそうです。この映画はもちろんフィクションだけれども、キルナが抱える現実などドキュメントな要素も含まれているそうです。出演者については北部の方言を話せる人探しに苦労したとのこと。それでも主要人物であるSebastian Hiort af OrnäsとLina leanderssonはどうしても出演して欲しかったのでSebasitian演じるMarkusはキルナ生まれで他の街に引っ越し、またキルナに戻って来たという設定(だから北部の方言が話せない)にしたそう。プロの俳優以外にもキルナ、ピテオ、スンツヴァルなど北部の町の高校を回り出演者を探した結果、見つけたのが主要人物の1人であるDaniel役のAlfred Juntti。彼は今まで一度も演技をしたことがないとのことですが、登場人物の中でも一番難しいと思われる役を見事に演じています。
今作品が初の長編映画というSofia Norlinによる『Ömheten』、ほのぼのとしたスウェーデンのイメージとは違うスウェーデンの一面を見ることができます。
Sofia Norlin

そして、今回のコンペティション部門ではアーティストのアイ・ウェイウェイ(艾未未)が審査員として参加。ストックホルムには実際には来ていませんが、映画祭での各作品の上映前にアイ・ウェイウェイからのメッセージビデオが上映されました。それは観客のみんながクスッと笑ってしまうようなものだったのですが、人権擁護や自由に対する関心が高いスウェーデンらしい人選のような気がしました。もしくは、ただ単に彼がスウェーデンで人気なだけかもしれません(去年もストックホルムで彼のエキシビジョンが開催されていましたし)。
アイ・ウェイウェイTシャツ/photo:Stockholm Filmfestival

カンヌやヴェネチアの国際映画祭のような華々しさはないけれど、この映画祭の期間のストックホルムのちょっと浮かれた雰囲気や、映画祭に携わる学生ボランティアが楽しそうに働く姿などがわたしは好きです。

次回、第25回ストックホルム国際映画祭は2014年の11月に開催されます。スウェーデンと映画が好きな方は是非、この時期にストックホルムにお越し下さい。

ストックホルム国際映画祭公式HP(スウェーデン語英語





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